2018年秋。
同棲して2年、入籍して1年、結婚式もハネムーンも無事終えた頃、考え始めたのは今後の住居と子供をどうするか。
夫婦共に地方出身。寄る辺のない東京で子育ての基盤を固めるためにも、まずは住居について方針を決めようと今後住むところどうしようプロジェクトがスタートした。
その時夫婦で話し合っていた希望条件はこんな感じ。
・住居形態としてはマンションを希望。予算的に東京で戸建は無理だろうと想定。
・猫が飼いたいので、猫を飼える賃貸 or 購入を検討。
・当時1LDK住まいだが、子供ができることを考えると最低2LDKにしたい。
・今後の財政面を考えると家賃は現状維持が必須。
・家賃現状維持+猫OK+部屋を広くしたいと考えると今のエリアでは無理なので、東京東側を検討。夫婦ともに独身時代住んでいたことがあり土地に馴染みがあるため。
・今後も共働き前提なので勤務先までお互いドアtoドア30分以内が目標。
その後、以下のような段取りで家購入までたどり着いた。
中央区で中古マンション2件見学するも挫折→近場でいい感じの中古検討→予算的に断念→SUUMOカウンターへ→新築マンション3件見学→購入
一番最初に見に行ったのは、中央区の中古マンション。その時の体験がいまだに忘れられないのですこし記録しておこうと思う。
中央区はお互いの職場へのアクセスが良く、また都心に住むという憧れも叶うのでいいのではないか、と思っていた。
SUUMOでいくつか気になる物件を探し、見学予約を入れ、10月のある週末、最寄駅で不動産会社と待ち合わせた。
駅のロータリーには黒いワゴン車が止まっていた。
あの車かな?と思い近寄ると、助手席から黒スーツのびしっと決めた小柄な男性が出てきて、名前の確認と、今日案内させてもらうXXです、と名乗ってくださった。
緊張しながらも、物件を見に行くのは夫婦ともに結構好きだったので、わくわくしながら車に乗り込む。
すると運転席には、闇金ウシジマくんのような、大柄でオールバック、すこしヤンチャな雰囲気の黒スーツのがっしりした男性が座っていた。
どうやら見学を申し込んでいた不動産会社の社長らしい。
この時点で(あっ・・・・・見学をお願いする会社、間違えた・・・・・・)と思うものの、もう後戻りはできず。促されるまま車に乗り込んで見学先のマンションに向かう。
見学先のマンションに向かう中、社長はよく喋る人で、今買うのはいいタイミングです!という話や、中央区はかなり今後も高くなる、というような話をずっとしていた。
途中、社長の携帯に電話がかかってきて、どうやら部下からの電話だったのか、「オイコラァ!」みたいな怒鳴り声を聞かされたのも覚えている。怖すぎてこの辺はあまり覚えていない。ただずっと緊張していた。
完全にこの時点でマンションを購入するテンションは下がっていた。
車内では、よかったらお食べください、となぜかドロップスを渡された。
お茶とかならわかるけど・・・なぜドロップス・・・・
手を付けづらくて、受け取ったものの車内の後部座席でずっとカラカラと悲しい音を立てていた。
この日に見学を予定していたのは2件。
1件目の物件は、築20年ほどの2LDKの中規模マンション。
エントランスでちょうどベビーカーを引いた親子連れに会い、子育て世帯も住んでいるのだと好感を持った。
見学中、社長は車内に残り、助手席のお兄さんに部屋を案内してもらう。
部屋の雰囲気は良かった。日当たりも良く・・・しかし、部屋から勤務先のビルが見えるほど会社に近かった。
これ、オンオフつけられず絶対精神病むじゃん。
また、築20年でこの広さ・値段なら、場所を変えて新築にしたほうがいいのでは、などと話す。見学する前は新築は高いだろうし中古でいいや、と思っていたけど、当時中古もそこそこ高く、この辺の感覚は実際見てみないとわからなかった。
次を見学させてください、とお願いして車に戻ると、車内で待機していた社長にはすでに会話が共有されており、じゃあ次に行きましょうか、と憮然とした態度で移動された。
どうやら内見中の夫婦の会話は、助手席のお兄ちゃんが付けているインカムによって、すべて社長に共有されていたらしい。
コワイ・・・コワスギルヨ・・・
2件目のマンションは築30年ほど、同じく2LDK、大規模マンション。
築30年というだけあって、外観は団地感が半端ない。廊下もひっそりと薄暗く、もうその時点で帰りたかった。建物のせいだけじゃないけど。
部屋の中はリノベされていて綺麗であり、部屋もその前に見に行ったところよりは十分広かった。しかしマンション全体の陰気臭さが気になり、かつ日当たりも良くない中、ここで決めようとはとても思えなかった。
その際も助手席のお兄さんは一緒に部屋にいたので、ずっと監視されている気分で「きれいだねー」「いい部屋だねー」などと盛り上げる言葉を言っていたけど、心は帰りたい一心。
10分ほどなんとか間を持たせて、今日はここで帰らせてもらうことに。
下に降りて、車の横を通り過ぎる時、恐怖すぎて社長の顔は見れなかった。
最後に何か嫌な捨て台詞をはかれたように覚えているけど、もう記憶がない。
その後はとにかくあの場から離れたい一心で近くの駅まで必死に歩いて、カフェに入ったところでやっと一息ついたのを覚えている。
楽しみにしていた初のマンション見学だったが、ひたすら恐怖の1日だったため、テンションは地に落ち一気に購入への熱意がなくなってしまった。
不動産界隈は結構ヤバめな会社も多そうなので、見学に行く際にはしっかりとした会社を選ぶ必要がある、という教訓を得た日でした。
思ったより長くなってしまったので、次回(?)に続きます。